在宅ワークで調子を崩しているあなたへ
少し前になりますが、ニュースで、昨年度労災で精神障害と認定された方が、急増したという報道がありました。
今回は、在宅ワークで調子を崩しているとお感じの方に向けて、考えてみます。
在宅ワークといっても、仕事の仕方も家庭の環境も様々ですが、その中で私が考える不調の理由が2つあります。
1つは仕事と家の境目がなくなったこと。もう1つは人とのつながりが少なくなったことです。
仕事モードとおうちモードを切り替えるには?
まず1つ目の、仕事と家の境目がなくなったことについて見てみましょう。
朝、眠い中起きるのは辛かったけれど、時間をかけての通勤が仕事モードとおうちモードの切り替えに大事だったかも、と気づいた方もいらっしゃると思います。
仕事はそこに集中せざるをえないので、雑事から頭が切り替えられる利点がありました。
在宅ワークでは、家から一歩も出ないのに時間が来たら仕事に入る。
どうやって境目を作り出せばいいのか。
仕事の前に何らかのルーティーンを入れるのはどうでしょう?
去年コロナ禍になってすぐの5月、私はオンラインで、仕事とは関係のない朝の集まりに出ていたことがあります。20分ほどの集まりの中で5分間、他の人と話してもいいし、一人の時間―今日の予定の整理、体操etc,―好きに選べる時間がありました。
毎朝同じ時間に行われるので、気持ちよく1日のスタートが切れて、ありがたかったです。
こんなふうに毎朝決まった時間にするとリズムができます。
内容はあなたにとって1日のスタートにふさわしいものを選びましょう。
ランニング、お散歩、庭の手入れ、一日の予定を考える、ジャーナリング(頭の中にあることを片っ端から書き出す)、瞑想、体の声を聴いて体がしてほしいようにする、気分にあった音楽を聴いたり歌を歌う、などなど。
要は自分とつながる時間を持ち、仕事前に一呼吸入れるのが大切です。
境目を作るために、在宅ワークの環境を整えることもいいですね。
大がかりなことでなくても、自分が仕事をするのに、より心地いい環境ってどんなだろう?デスクの向きは?とか、今あるものを使ってならどうできるだろう?とイメージしてみるのです。
少し変えるだけも気分が変わるものです。
人との会話がもたらす効果と、その代わりになるもの
在宅ワークに対処するカギのもう一つ、人とのつながりについて考えてみましょう。
朝の挨拶に始まって、仕事でいつも関わる人でなくても、行きあった時に言葉を交わす同僚や、聞くともなしに聞こえてくる会話など諸々のものがなくなって、何となく他の人の状況が見えにくくなる。
コミュニケーションはノンバーバルなものの方が伝える量が大きいと言われています。
会話だけでなく、「ああ、髪切ったんだ」とか「なんか疲れてそうだな」とか、そんな一見どうでもよいことがそぎ落とされてしまって、余白がなくなっている。
私はカウンセリングで、その人の神経系がうまく調整されることを大事にしています。
神経系には、人とのつながりによって調整されるものがあります。職場でのいつものちょっとした会話も含めてなくなると、知らず知らずのうちに神経系がうまく調整されにくくなっていることが考えられます。
では、どんなことができるでしょう?
リアルには会えない中でも、同僚とコミュケーションすることを考えてみるのもよいでしょう。
在宅ワークになったというだけでなく、全体的に家族以外の人と会う機会が減っているので、仕事関係に限らずに、会えなくなっている人と電話やオンラインで話すとリフレッシュするかもしれません。
また、人とのつながりで整う神経系は、自然とのふれあいでも整うと言われています。
自然は、街中でも意外と身近にあります。自然をみつけてちょっと立ち止まって眺めてみる。
もちろん、時には遠出して自然を満喫すると、ご褒美をもらったように元気になります。
早めのメンタルケアを心がけよう
もしも何かをする気にもならないほど元気がないなら、今は休養が必要な時、と心身ともに休めてあげましょう。
それでもよくならないときは、専門家の手を借りることも考えてくださいね。
他の人に話すと、「あ、私こんなふうに感じていたんだ」と、改めて気づくことがあります。
また、私自身の経験からも、自分のことについて第3者と一緒に考えることで、より深く入れることがあると、実感しています。